最近の出来事

  1. 2017年1月25日(木)に,第14回研究センター研究会が,びわこ・くさつキャンパス(BKC)エポック立命21のK305号室において開かれました.演者,時間,講演内容は次のとおりです.

    谷口忠大(情報理工学部)17:00~17:45「実世界感覚情報に基づく言語獲得の構成論~記号創発ロボティクスによる認知科学に向けて~」
            Computational models that can reproduce human developmental and long-term learning process have been widely explored. However, we have not obtained a computational model that enables a robot to learn physical skills and linguistic communication skills automatically through its sensorimotor interaction with its environment. Symbol emergence in robotics is a research field in which cognitive models that form symbol or representation systems in a bottom-up manner have been developed. In this talk, I talked about symbol emergence in robotics and its related topics. In particular, I focused on a word discovery task where double articulation analysis performs a central role. I introduced a nonparametric Bayesian method for unsupervised word discovery, nonparametric Bayesian double articulation analyzer and its applications. I also talked about a language acquisition and spatial concept formation method.
    Reference
    1. Tadahiro Taniguchi, Takayuki Nagai, Tomoaki Nakamura, Naoto Iwahashi, Tetsuya Ogata, and Hideki Asoh, Symbol Emergence in Robotics: A Survey, Advanced Robotics, 30(-), (11-12)706-728, 2016. DOI:10.1080/01691864.2016.1164622
    2. Akira Taniguchi, Yoshinobu Hagiwara, Tadahiro Taniguchi and Tetsunari Inamura, Online Spatial Concept and Acquisition with Simultaneous Localization and Mapping, IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems, 2017

    田浦秀幸(言語教育情報研究科)17:00~18:15「第2言語習得開始年齢と脳内コネクトーム」
            This study explores if L2 is processed qualitatively differently from L1, depending on the L2 onset age. To date, psycholinguists have tested Lenneberg’s critical period hypothesis (1967) inconclusively, with results supporting it (i.e., Johnson and Newport, 1989; DeKeyser, 2005; Abrahamsson and Hyltenstam, 2009) and opposing it (i.e., Hakuta, Bialystok, and Wiley, 2003: Hernandez, Li, and MacWhinney, 2005; Birdsong, 2006). Neurolinguists have examined the hypothesis with interesting results, as shown by Kim, Relkin, Lee, and Hirsch’s fMRI study (1997) which revealed that the identical region in Broca’s area was activated in early bilinguals’ L1 and L2 use, something which was not observed in late bilinguals. A more precise age for this, was identified by Weber-Fox and Nerille (1996) who said that that language plasticity in the left hemisphere is complete and more activation in the right hemisphere was inevitable when the L2 was acquired after age 11.
            This study examines the issue of L2 onset age based on data from bilinguals whose two languages (Japanese and English) are linguistically distant and whose L2 onset age varies in comparison to those students studying English from a junior high school level.
            The research followed 59 Japanese-English bilinguals and as a control group, 10 Japanese learners of English. The bilinguals acquired their L2 (English) through extensive exposure and use, differing only in L2 onset age; before birth (Group 1, N=10), at birth (Group 2, N=10), age 1-3 years (Group 3, N=10), 4 -5 years (Group 4, N=10), 6-9 years (Group 5, =10), and 16-22 years (Group 6, N=9). Control Group 7 (N=10) started studying English at junior high school in Japan. All participants (N=69) resided in Japan at the time of data-collection, and had acquired Japanese as their L1.
            A Verbal Fluency Task (VFT) was used to collect behavioural and brain activation data. This task included letter and category tasks in both Japanese and English. A 42-channel Shimadzu OMM-3000 was used to collect fNIRS data from Broca’s area and its homologous area in the right hemisphere every 130 ms.
            The preliminary analyses thus far suggest a clear age effect on the right hemispheric brain activation but no significant differences in Broca’s area or in the behavioural data. The right hemispheric involvement is statistically higher as the L2 onset age increases. The presentation will include full analyses and show brain region connectivity with plausible explanations.
  2. 2017年12月1日~3日に,本研究センターとの共催のもと,日本基礎心理学会第35回大会が立命館大学大阪いばらきキャンパス(OIC)で開かれました.
  3. 2017年11月30日(木)に,第13回研究センター研究会が,大阪いばらきキャンパス(OIC) フューチャープラザ4F研究会室2において開かれました.演者,時間,講演内容は次のとおりです.

    肥後克己 (立命館大学グローバル・イノベーション研究機構) 17:00~17:30:「ワーキングメモリとその神経機構」本発表では,言語理解や思考,記憶などの人間の高次認知機能を支える認知システムであるワーキングメモリについて,その基礎的な知見と神経基盤についての概説を述べる。ワーキングメモリはなんらかの活動に必要な情報を一時的に保持・処理する役割を持つ。Baddeley(1986)によって提案されたモデルがワーキングメモリ研究の始まりであり,主に3つの要素(中央実行系・音韻ループ・視空間スケッチパッド)から構成されるという点は現在でも変わっていない。ワーキングメモリモデルを援用した応用研究においてしばしば問題となる「短期記憶との違い」については,二重貯蔵モデル(Atkinson & Shifrin,1968)の問題点(Warrington & Shallice,1969;Shallice & Warrington,1970)を考慮するとわかりやすい。短期記憶とワーキングメモリの最大の違いは,情報処理を想定している点であり,この情報処理を担うワーキングメモリシステムの構成要素が中央実行系である。このようなワーキングメモリの機能を測る実験課題として,リーディングスパンテスト(Daneman & Carpenter,1980;日本語版は苧阪,2002)がある。リーディングスパンテストは文章の音読と文中の単語記憶を同時に課す課題であり,文章理解課題の成績と相関があることが特徴である。リーディングスパンテスト遂行中の脳活動を計測した研究(Just,Carpenter, & Keller, 1996;Bunge et al., 2000)によって,ワーキングメモリにはDLPFC,ACCの働きが重要であることが示唆されている.

    京屋郁子(総合心理学部)17:30~18:00:「抽象概念をどのように表現するか:抽象概念の構造と表現形式」 これまでの概念研究,カテゴリ研究では,「木」「魚」などの具体的な自然概念や,実験者が恣意的に作成した人工概念が用いられてきた.しかし,「愛」「勇気」などの抽象概念の特性を検討した研究は存在するもののそれほど多くなく,また,それらを含めた包括的な概念モデル,カテゴリ化モデルは提唱されていない.そこでまず本発表では,具象概念と抽象概念を比較することによって得られる抽象概念の構造的特性,表現形式的特性を報告した.構造の点では,具象概念は特徴・階層的であり,抽象概念は関係・並列的であるという先行研究がある.これらの先行研究を受けて行った発表者の2次連想を認める連想実験では,具象語に対する連想は複数次の連想がおこりやすく,連想が深くなりやすい一方で,抽象語に対する連想は刺激語付近に留まる傾向が認められた.しかし刺激語を増やすなど,さらなる検証が必要であることを報告した.また,表現形式の点では,抽象概念はより具体的な情報によって支えられているという概念メタファ仮説がLakoffらによって提唱されている.しかし,発表者の連想実験で具象語と抽象語とを比較したところ(京屋, 2014),必ずしも抽象概念と具体的な情報との繋がりは強くないことが示された.さらに,これらの結果をもとに抽象概念の特性をどのように概念モデル,カテゴリ化モデルに反映させるべきなのかを検討した.
  4. 「説明研究会」の発足および「つまづき研究分科会」の解散について
    センター内に設置されていた「つまづき研究分科会」を解散し,新たに「説明研究会」の発足させました.
  5. 2017年9月29日(木)に,第12回研究センター研究会が,びわこ・くさつキャンパス(BKC)のエポック立命21のK305号室において開かれました.演者,時間,講演内容は次のとおりです.

    永井聖剛(総合心理学部)16:30~17:00:「大きなモノみて力強く! −知覚刺激が発揮筋力に与える影響−」:刺激−反応適合性研究に関しては空間次元について検討したものが多いが(e.g., Simon & Berbaum, 1990),少数ながら刺激の物理的強度と反応強度(「強い」あるいは「弱い」キー押し)との間の刺激—反応適合性,すなわち,大きい,明るいなど物理強度が大きい刺激に対し強い反応が適合していることが報告されている(Romaiguère et al., 1993).我々はさらに,刺激の単純な物理的性質だけでなく,より抽象化された概念的レベルでの刺激情報が反応出力システムと共有されていることが示唆する結果を示した.また,抽象化レベルでの情報共有は運動出力間でも生じること,すなわち,大きな声を出しているときには,小さな声を出しているときよりも,描画される円の大きさが大きくなることも見出した.したがって,刺激の物理量に関する情報,運動の強さ/大きさに関する情報は,知覚と運動との区別なく,抽象レベルで(例,大-小,強-弱)共通に表現され,相互に影響を与えるものと考えられる.
    この仮説に則って近年では,刺激—反応適合性パラダイムによらない実験事態で,刺激サイズや刺激が示唆するパワーと発揮される握力との関係を調べた。その結果,サイズが大きい刺激やレスラー画像に対しサイズが小さい刺激や乳幼児画像よりも大きな握力が発揮されることも示した.

    佐藤隆夫(総合心理学部)17:00~17:30:「モノを見るメカニズム」
  6. 9月19日に大阪いばらきキャンパス(OIC)フューチャープラザ3Fコロキウムにおいて,立命館大学「力触覚応用コンソーシアム」の初回の会合が開かれました.企業関係者30名あまりの方々にお集まりいただき,成功裏に会を終えることができました.野間春生の司会進行のもとにつぎの講演が行われました.

    東山 篤規「触覚の心理学的アプローチ」
    杉山 進「Siピエゾ抵抗効果を用いた力・触覚センサの実用化」
    寒川 雅之「マイクロカンチレバとエラストマを用いた触覚センサの開発と質感計測への応用」
    下江 輝「ディープラーニングを用いた素材識別の試み」

    この後,懇親会(OICフューチャープラザ1Fイベントホール3)がもたれ,懇親会場では,企業側からの参加者との間で有益な交流ができました.
  7. 学振外国人特別研究員の Valeria Casoldi 氏が8月16日にイタリアから来日され,大阪いばらきキャンパス(OIC) B棟5Fの認知科学研究センターの部屋を研究拠点に活動しています.滞在期間は10月まで.お見かけになることがあれば,お声がけください.
  8. 2017年7月27日(木)に,第11回研究センター研究会が,大阪いばらきキャンパス(OIC)大阪いばらきフューチャープラザ4F研究会室2において開かれました.演者,時間,講演内容は次のとおりです.

    木村 朝子,橋口哲志(立命館大学情報理工学部)16:30~17:15:「複合現実型視覚刺激が触力覚知覚に与える影響」現実空間と仮想空間を実時間で重ね合わせる複合現実 (Mixed Reality; MR) 空間において,視覚や聴覚による触力覚への影響といった多感覚刺激を活用する研究が注目を集めている.MR空間では,実物体にCGを重畳描画することで実物体の外観を視覚的に変更することができる.一方,人の触力覚は,視覚から影響を受けることが一般に知られていることから,現実空間に重畳描画される人工的な視覚情報(以降,MR型視覚刺激と呼ぶ)が触力覚に影響を及ぼす可能性は高い.本発表では,我々がこれまでに発見したMR型視覚刺激によるいくつかの視触力覚錯覚現象を紹介した.具体的には,実物体と重心位置の異なるCG画像を重畳描画した場合に,重心位置が複合現実型視覚刺激に引きずられ,知覚される重心位置が変化する錯覚現象 (Shape-COG Illusion) や,実物体(剛体)と仮想物体(液体)の運動状態が異なる場合に,力覚を通して実物体の運動知覚に影響を及ぼす錯覚現象 (R-V Dynamics Illusion) などが挙げられる.

    不二門 尚(大阪大学大学院医学系研究科)17:15~18:15:「医学的立場から見た立体視:小児の斜視と立体視障害,3D映像と眼の疲労」 HMDを用いた仮想現実(VR)の映像は広く普及しつつあるが,VRでは両眼に視差のある3D映像が用いられ,眼の輻湊系と調節系が解離するため、眼が疲れやすいという問題点がある.視差の大きな3D映画を見た後,内斜視が誘発された小児の症例が報告されたことなどから,近年では3D映画で用いる視差は基本的に1°以内に制限されている.立体視は6歳位まで発達期にあり,この間に眼の平行性が保たれないと立体視機能が失われるため,小児の3D映像視聴は注意する必要がある.一方立体視の弱い,斜視治療後の症例においては,通常の立体視検査で立体視(-)であっても飛び出しの大きな3Dアトラクションは立体的に見える可能性がある.逆にこのような症例では,視差の小さい3D映画は立体的に見えない.今後教育の現場で3D映像が使用される場合には,このような点に配慮する必要がある.

近い将来の予定

  1. 基礎的要素の強い研究を中心にして,2か月ごとに研究会を開催して,研究発表と意見交換を行います.研究会では,おもに本研究センターのメンバーが発表を行います.
  2. 2018年には,本研究センターとの共催のもと,日本認知科学会第35回大会(8月30日〜9月1日)と日本認知心理学会第16回大会(9月1日~9月2日)が立命館大学大阪いばらきキャンパス(OIC)で開かれます.本センターの分科会である「説明研究会」(主宰 山本博樹)が,シンポジウム「本当に認知研究は説明実践に貢献してきたのか?-「分かりやすい説明」をめぐるアポリアへの挑戦-」を企画する予定です.