最近の出来事

  1. 2021年5月24日(月)に第33回研究センター研究会がZOOMをもちいて開催されました.演者,時間,講演内容は次のとおりです.

    安藤 潤人(情報理工学部)17:30~ 『微小面歪検出のためのゴム製人工皮膚層』
     生産現場では製品検査として面歪検査と呼ばれる検査工程がある.この工程では作業者が製品の表面を触り,加工不良で生じた歪みや凹凸の有無を検査する.自動車の生産現場では十分に訓練された作業者が行っている作業であり,非常に困難な作業とされている.その面歪検査を簡易的に行えないかと考え,微小面歪のセンシングが目的である.センサとしてゴム製人工皮膚層と呼称する柔軟な触覚センサを開発した.このゴム製人工皮膚層を使って微小な表面の凹凸検出が可能であることを示した.また,センサ信号から表面形状の推定を試みた.面歪検査を例に挙げ,柔軟構造を利用した走査型触覚センシングについて述べた.

    服部 雅史(総合心理学部)18:15~ 『思考の二重過程とその相互作用』
     認知や思考が,無意識的で直感的・自動的な過程(タイプ1)と意識的で内省的・制御的な過程(タイプ2)からなるという二重過程の考えは,1970年代以降,多くの心理学者や認知科学者によって別個に提唱されてきた.しかし,タイプ1と2の相互作用について明らかになっていることは少ない.本発表では,両者の相互作用について明らかにするために,これまでに行ってきた洞察問題と潜在プライミングを用いた研究を紹介する.われわれの研究から明らかになってきたことは,(1) 意識的で複雑に見える問題解決過程も,さまざまな外部情報に無自覚的に大きく影響を受けること,(2) ただし,その影響は,プライミングによる処理の自動的促進といった単純な効果ではなく,意識の状態や個人の認知特性・性格特性・感情によって調整を受けて正にも負にもなりうること,である.こうした知見を踏まえて,意識と無意識の関係や,二重過程理論の意義と問題,今後の展望などについて話した.

  2. 2021年2月8日(月)に,第31回研究センター研究会が,zoomを用いて開かれました.演者,時間,講演内容は次のとおりです.

    野間春生(情報理工学部) 17:30~ 『徹底的にヒトを模した触覚センサの識別技術と応用,事業化活動の紹介』
       これまでに極小サイズのMEMS技術を応用した触覚センサの開発を進めている. このセンサそのものはヒトの触覚受容器と同程度のサイズで実装が可能である。このセンサを活用して、計測された信号処理の手段についても深層学習を応用してヒトの処理を模した仕組みを研究している. これらのセンサによる識別技術と応用,さらには,本年度に始めた本センサの大学発の事業化活動について紹介した.

    林勇吾(総合心理学部) 16:16~『認知的コミュニケーション支援に向けて:協同学習場面での実験的検討』
       本発表では,「高齢者の認知的コミュニケーションの支援に向けた学際的研究拠点の形成」(R-Giro4期採択,主宰:林勇吾)における認知的コミュニケーション支援の概要について簡単に取り上げた. そのうえで,現在,林研究室で研究してきた協同学習場面での認知的コミュニケーション支援に関するレビューを行った.
       R-Giroのプロジェクトでは,実証的なエビデンスをもとに人の状態を理解するモデルを構築し,そのモデルをベースに情報システムを構築していく認知科学的な研究アプローチを採用している. 研究室で行った研究の例としては,小集団での人間の協同問題解決に関する研究がある(Hayashi, 2018, Cognitive Science). 本研究では,集団での人間の協同問題解決における協同相手の発話行動を実験的に操作するために実験装置として会話エージェントを構築した. また,別の研究では,ペアでの協同学習を教育用学習エージェント(Hayashi, 2020, International Journal of Computer-Supported Collaborative Learning)やプロンプト提示によるコミュニケーション支援を行っている(下條・林,in press,認知科学). これらの研究では,学習者や教師の発話内容を心理学実験により検討・分析したうえで,その内容をもとに実験のための支援システムを開発するアプローチにより進めている. 本発表では,今後の課題として,最新の認知科学・人工知能のモデル研究によりどのように研究を発展させることができるのか,さらにはR-Giroのプロジェクトにおいて心理学と情報工学の研究をどのように融合的に研究を行えるのかを議論した.

  3. 近い将来の予定

    1. 基礎的要素の強い研究を中心にして,2か月ごとに研究会を開催して,研究発表と意見交換を行います.研究会では,おもに本研究センターのメンバーが発表を行います.次回の研究会は,2021年7月末に予定しています.