最近の出来事

  1. 2019年7月25日(木)に,第23回研究センター研究会が,OIC,B棟4F,研究会室2において開かれました.演者,時間,講演内容は次のとおりです.

    前田太郎(大阪大学・情報科学研究科)17:00~「VRとサイバネティクス:感覚重畳刺激と行動誘導インタフェースの構築」
       本講演ではサイバネティクスの観点から人間の感覚-運動特性を利用したインタフェースを提案している.GVS(前庭電気刺激)をはじめとする感覚重畳インタフェースを利用した行動支援技術の設計理念と応用例を紹介する.

    和田隆広(立命館大学・情報理工学部)17:45~「操縦型機械の操作性・快適性向上に関する研究」
       操縦型機械(自動車,建機,義足,遠隔操縦ロボットなど)に関する,操作性・快適性の要因の解明と,その向上技術に興味がある.その事始め(が10年も続いているが)として行っている,動揺病(乗物酔い)や反射眼球運動の計算モデルや,その人間機械システムへの応用に関する研究例などを紹介する.

  2. 2019年4月20日(月)に,第22回研究センター研究会が,BKCエポック立命21 K305室において開かれました.演者,時間,講演内容は次のとおりです.

    田村昌彦(BKC社系研究機構)17:00~「選択肢数が不確かな状況における選択行動に与える影響」
       不確かな状況において選択行動を行う際に,我々は事象の生起確率を基に意思決定を行うと考えられてきた.しかし,我々はヒューリスティックを用いるなど,しばしば非規範的な意思決定を行う(たとえば,Tversky&Kahneman, 1974).この原因として,我々が確率見積もりを適切に行うことが困難であることが指摘されている.他方,近年では,認知処理の二重性が指摘されている(Evans&Stanovich, 2013).この観点によると,我々には確率見積もりを行うプロセスと,情動ベースのバイアスが介入するプロセスの2種類によって意思決定を行うと捉えられている.これまでの研究では,情動ベースのバイアスが介入するプロセスでは,予期的な公開や,記憶の歪みが作用していると指摘されているが,定量的な特性など明らかにされていない点が多い.
       本研究では,確率見積もりが困難な状況において,情動ベースのバイアスが介入するプロセスがどのような性質を有するのかについて検討した.中でも,選択肢の数が選択変更に与える影響について実験的に検討した.具体的には,確率見積もりが困難な状況として,モンティホール問題を用い,提示される扉数を操作することで選択肢の数を操作した.その結果,選択肢の数の増加に伴い,推定される選択変更率の上限が増加することが明らかになった.このことは,選択肢の数が増加するにしたがって,選択変更を抑制する情動的なバイアスが弱まると考えられる.

    田中省作(文学部コミュニケーション学域)17:30~ 「形状と誤りで描く日本手話の指文字マップ」
       手話の「指文字」は,音声言語のアルファベットに相応し,日本手話(以後,適宜「手話」と略記)には日本語の五十音に対応する指文字が存在する.手話の実際のコミュニケーションでは,指文字の出現は語に相応する手話単語に比べ相当に低いものの,新語や外来語などにも使われる重要な表現法である(たとえば,4/1の新元号の発表の際にも使われた).また,手話学習の入門テキストの見返しに指文字が提示されることも多く,手話学習の入口の一つでもある.
       その手話の指文字の表出と読取の誤りの一因に,指文字間の形状の類似性が考えられている.そこで本研究は,動きが伴わない41の指文字を対象とし,手指形状を7つの特徴(手の向き・掌の向き・小指の情報・薬指の情報・中指の情報・人差指の情報・親指の情報)で表し,誤りデータを考慮しつつ,指文字を低次元空間に布置する方法を提案する.提案手法ではまず,表出や読取時に誤りが起こった指文字間から,捨象されやすい特徴を求める.そして,それらの情報に基づき,各指文字の形状を変形し,多次元尺度構成法によって布置する.実験の結果,誤りがより近接したマップが生成され,さらに未観測の誤りの予測可能性や,学習者は掌の向き・手の向き・親指の情報の順に捨象しやすいこと,形状が原因ではない誤りの検出や新たな原因の一端(学習順序・単位による混乱)が示唆された.

    小池千恵子(薬学部創薬科学科)18:00~「脊椎動物網膜が視覚情報を捉えるしくみ」
       脊椎動物網膜は中枢神経系に属し,5種類の神経細胞と1種類のグリア細胞からなる階層構造を持つ.本セミナーでは,視覚情報を神経シグナルに変換する視細胞の役割と,視細胞から視覚情報を受け取った双極細胞が,視覚情報をON・OFF経路に分解する仕組みについて説明する.

  3. 2019年3月25日(月)に,第21回研究センター研究会が,OIC,B棟4F研究会室2において開かれました.演者,時間,講演内容は次のとおりです.

    松室 美紀(情報理工学部 リアリティメディア研究室)17:00~「身体のメンタルモデルと身体所有感の変化が痛み知覚に与える影響」
       自身の身体のメンタルモデルは,行動の決定のために重要な役割を果たす.そこで,本研究では.視覚情報により身体のメンタルモデルを変化させることを試み,その痛み知覚への影響を検討した.特に,身体所有感の変化による効果との比較を行った.身体所有感とは自身の身体や対象物が自身の一部であるという感覚を指し,その強さは痛み知覚に影響することが先行研究で指摘されている.本研究ではMR技術を用い参加者の前腕を透明に見せ,参加者のメンタルモデルと痛みの知覚の変化を測定した.その結果,身体所有感よりも,腕を透明にすることにより生じる実体のなさが,痛み知覚を減少させることが示された.

    満田 隆(情報理工学部)17:30~「選ぶために最後に見る,触る,嗅ぐ:二者択一選好課題における意思決定メカニズム」
       二つの候補からどちらか好きなほうを選択する場合,人は通常,両候補を交互に繰り返し見比べて決定する.一方,コンピュータが二者択一を行う場合は,それぞれを独立に1回ずつ評価して,評価点が高いほうを選ぶので見比べる必要はない.人はなぜ,見比べる動作を必要とするのか?多くの研究は,二つの画像から一つを選ぶ場合,人は選ぶ画像を最後に見る傾向があることを報告している.これまでの実験で,この傾向は視覚に限らず,触覚や嗅覚を用いた選好課題でも生じることを確認した.また,好き嫌いとは関係のない基準で選択する課題でも同じ傾向が生じることを確認した.本発表では,候補への接触方法が選択に与える影響を紹介するとともに,単純接触効果や意思決定メカニズムとの関連について議論する.

近い将来の予定

  1. 基礎的要素の強い研究を中心にして,隔月に研究会を開催し,研究発表と意見交換を行います.研究会では,おもに本研究センターのメンバーと外部からお招きした方々の発表を行います.次回の研究会の予定は次のとおりです.
    日時:2019年9月下旬
    場所:琵琶湖草津キャンパス(BKC)
  2. 本研究センターは,2019年度の日本心理学会(9月11日水~13日金,大阪いばらきキャンパス)において予定されているシンポジュウム「本当に協調的なインタラクションは学びを支援するのか?」(企画者:林勇吾・山本博樹・藤本学)を後援します.