最近の出来事

  1. 2022年7月29日(金)に第40回研究センター研究会が,対面(BKC, CC102)と遠隔(ZOOM)をもちいて開催されました.演者,時間,講演内容は次のとおりです.

    文学部 布山美慕 先生『量子確率を用いた文章理解研究の構想』
     2010年頃から量子確率を用いた認知研究ー量子認知の研究ーが主に意思決定分野において進められ、非合理とされてきた認知の一部を数理的に説明する成果が報告されてきた.本発表では、量子確率を用いた文章理解研究の構想について、量子認知研究の枠組みをレビューした上で紹介する.一部予備的な実験結果についても発表する.これから展開予定の研究のため、本研究会にて多くの議論をいただけることを期待する.

    立命館大学 立命館グローバル・イノベーション研究機構 専門研究員 村上嵩至 先生『Navon図形の視覚的印象に及ぼす観察者の気分の影響』
     複数の小さな図形あるいは文字を規則的に配列することで,特定の大きな図形あるいは文字を表したものをNavon図形とよび,前者の小さな特徴を局所,後者の大きな特徴を大域とよぶ.われわれは,この図形の大域に焦点を合わせて見る場合と,局所に焦点を合わせて見る場合とでは,その図形に対して異なる印象をもつ.これらのどちらに焦点を当てるかは,図形それ自体がもつ要因(局所の数や密度,大域と局所の大きさなど)によって大きく左右される.しかし本発表では,さらに,観察者がもつ要因に注目し,その感情状態が及ぼす影響について検討する.具体的には,比較的弱いながらも一定時間持続する気分という感情状態が,肯定的(ポジティブ)であるか否定的(ネガティブ)であるかによって,Navon図形の視覚的印象に変化が生じることを検証した一連の実験とその結果について紹介する.

  2. 4月1日付で認知科学研究センター長に野間春生(情報理工学部教授)が着任しました. 

  3. 2022年5月30日(月)に第39回研究センター研究会が,対面(OIC, B411研究会室)と遠隔(ZOOM)をもちいて開催されました.演者,時間,講演内容は次のとおりです.

    萩田 紀博 先生(大阪芸術大学芸術学部アートサイエンス学科⻑・教授):17:30〜 『ウイズコロナ社会後の人と機械の共生の在り方に関する科学技術の発展動向』調査研究プロジェクトでの提言について
     ウィズコロナ社会後の人と機械の共生の在り方について,人工知能・ロボティクスに焦点をあて,その発展動向を調査する.倫理的・法的・社会的・経済的課題も考慮して,労働,教育,健康,スポーツ等の分野で,未来社会実装のための要件と施策を提言する.

    後藤 智 先生(立命館大学・経営学部 准教授,デザイン科学研究センター ディレクター)18:15〜 “モノの意味の複声性へどう対処するか。-ロジカルシンキングとデザインシンキングの違い-”
     近年の社会の多様性の発展に伴い,モノに対する人々の認知する意味も多様となっている(複声性).このような社会では,西欧の支配的な認識による世界の見方(ユニバース)に基づいたモノの設計から,それぞれの場所や時間に基づいた複声的な世界の見方(プルリバース)に基づいたモノのデザインが求められる.本講演では,複声的な世界におけるデザインを実践するための手法としてデザインシンキングをロジカルシンキングと比較しながら紹介する.

  4. 2022年3月28日(月)に第38回研究センター研究会が,対面(OIC, AC342 セミナールーム)と遠隔(ZOOM)をもちいて開催されました.演者,時間,講演内容は次のとおりです.

    林 勇吾(総合心理学部)17:30~『協調的インタラクションによる学びの支援に向けて:ACT-Rを用いた説明活動時の知識利用に関する分析』
     本研究室では,協調的なインタラクションを通じた学習者の学びを支援する学習支援システムのデザインとその評価を行っている.学習活動のファシリテーションを行う会話エージェントの設計に向けて,人間同士のインタラクションを形式的に分析することは,重要な研究フェーズの一つである.そこで本発表では,コンセプトマップを用いた学習者ペアの説明活動に関する実験的検討で得られた発話プロトコルから,学習者の知識利用法に関する分析結果を紹介する.また,認知アーキテクチャーACT-Rを用いた計算機シミュレーションによる学習者の知識検索の方略に関する最新の考察内容も紹介する.本発表では,この内容に先立って,認知科学の分野で長年扱われてきた認知アーキテクチャーACT-Rの簡単な紹介と,研究室で行っている会話エージェントを利用した協同学習支援に関する研究の紹介も行う予定である.

    東山 篤規(総合心理学部)18:15~『床面傾斜の知覚と順応に寄与する視覚と体性感覚,およびその結合感覚』
     目を閉じて傾斜した床面の上にしばらくいると,その床面が水平に感じられるようになります(体性感覚の順応).また,水平面上にいて,水平面から少し傾斜した面を見ていると,それが水平面に見えてきます(ギブソン効果とよばれる視覚の順応).この研究では,被験者が床面上で仰臥あるいは座位しているとき,体性感覚の順応と視覚の順応,および両者の相互作用を明らかにすることを試みています.被験者は,体性感覚的,視覚的,あるいは両感覚的に,水平面から-6°, 0°, あるいは6°に傾斜した床に3分間晒され(順応過程),その直後に,順応角のまわりの9検査角の傾斜を推定しました.おもな結果はつぎの通り.①推定値を検査角の一次関数として記述したとき,どの順応角においても高い適合度がえられました.これはギブソンの正規化説を支持し,ケーラーの飽和説に反します.②仰臥姿勢では,一次関数の勾配(傾斜の感度)は体性感覚と視覚条件においてともに低く結合条件において高くなったのに対して,座位姿勢では一次関数の勾配はすべての条件において高くなりました.これは,座位姿勢における垂直方向に対する視覚的・非視覚的手がかりの増加と,仰臥条件における体液の異常な圧力パターンとによって説明することができました.③どちらの姿勢でも,主観的水平(水平面と知覚することができる傾斜角)は,視覚条件よりも体性感覚条件において大きくなりました.④結合条件の主観的水平は,横臥姿勢では,体性感覚と視覚によって得られた主観的水平の中間値でしたが,座位姿勢では,視覚のみによって得られた主観的水平に一致しました.

  5. 2022年2月3日(木)に第37回研究センター研究会が,ZOOMをもちいて開催されました.演者,時間,講演内容は次のとおりです.

    和田 有史(食マネジメント学部)17:30~『食の多感覚知覚の展開 ー呼吸と味嗅覚統合+食味視覚化技術の開発ー』
     新規の嗅覚提示装置を開発し,呼吸のタイミングが味嗅覚相互作用の重要な規定要因であることを発見した.また,官能評価で近年注目されているTemporal Dominance of sensationsという食味中の感覚印象の時間的変化をとらえる技法とSemantic Differential法を併用し,喫食中の食味印象を視覚的表現する技法を開発した.以上の2つの研究を中心に食における多感覚知覚について概観する.

    松室 美紀(情報理工学部)18:15~『各身体部位の位置の知覚における複数部位間の相互作用の検討』
     我々は自身の身体がどのようなものであり,現在どのような状態であるかという身体表象を持ち,それを利用し行動をしている.複数の先行研究で,大きさや素材,身体の構造等の身体表象の操作が可能であることが示されてきた.特に腕や体の位置は,ラバーハンドイリュージョンに代表される身体所有感に関する研究において,実際とは異なる位置に簡単に知覚されることが示されている.我々は,そのような身体の位置の知覚における,複数の身体部位間の相互作用の検討をおこなっている.例えば,「両腕の位置の知覚を操作する時は,両腕を同時に観察したほうが良いのか」,「一箇所の身体部位のみ知覚される位置を操作した場合,他の部位の位置の知覚に影響を与えるのか」などである.実験では,HMDを使用し,参加者本人またはアバタの身体(の一部)が実際とは異なる位置に表示されるよう設定した.そのようなずれた身体を観察しながら体を動かし,その後,身体を観察せずに行うテストでの動きが観察前からどの程度変化したかを測定した.本発表では,一連の研究におけるいくつかの実験とその結果を示す.

  6. 2021年11月24日(水)に第36回研究センター研究会が,ZOOMをもちいて開催されました.演者,時間,講演内容は次のとおりです.

    品川 啓介(テクノロジーマネジメント研究科)5:30~『学術研究における経路依存の発生過程および企業の研究開発への影響』
     自然科学分野の専門の学術領域を構成する研究者集団には,蓄積された知識に囚われ他領域の進歩や現況の認識を欠いたまま,それぞれの研究に邁進してしまう現象が散見される.本稿ではこれを研究プロセスにおける経路依存と定義し,この(経路依存の)存在が科学の進歩の様相を分けた事例として青色発光ダイオード開発における発光素材料の開発競争を選び比較する.この競争では科学理論に基づき成功が期待されてきたZnSe研究において理論の新たな展開が見られないなか,期待されてこなかったGaN研究において画期的な科学の発見を基にした展開が生じたこと,ZnSe研究の研究者達はこのような状況下でも研究を継続したことが知られている.これについて,それぞれ定量分析(科学論文の書誌情報分析)と定性分析(研究者インタビューなど)を行うことで,経路依存が発生する過程と,それが企業の研究開発へ及ぼす影響を明らかにする.これを,企業における経営戦略策定において研究開発テーマを設定する際に勘案すべき重要事項として提案する.

    松村 耕平・川上 雄大・渡邊 将太(情報理工学部)6:15~『感情の時系列的表現が可能な顔アイコンアニメーション作成システム』 
     感情を絵文字として表した顔アイコン(顔文字,Emoticon)がオンラインコミュニケーションを円滑にする目的で用いられてきています.これらは便利な一方でコミュニケーションの問題を生じる原因にもなっています.たとえば,顔アイコンにメッセージの送り手が持たせた意味が受け手の解釈と相違することによって誤解を招くことがあるでしょう.私たちは顔アイコンをアニメーションとすることによって感情を時系列として表現することができるシステムを開発しています.第一部では,その入力インタフェースの特徴,システムの応用としてオンラインレビューへと展開した最新の研究例について説明します.第二部では,システムの表現力を向上するための試みと,その試みに関連した問題と最新の研究成果について説明します.研究会では,これらの研究成果について議論したいと考えています.

  7. 近い将来の予定

    1. 基礎的要素の強い研究を中心にして,2か月ごとに研究会を開催して,研究発表と意見交換を行います.研究会では,おもに本研究センターのメンバーが発表を行います.次回の研究会は,2022年9月下旬を予定しています.詳細は追ってお知らせいたします.