最近の出来事

  1. 2019年3月25日(月)に,第21回研究センター研究会が,OIC,B棟4F研究会室2において開かれました.演者,時間,講演内容は次のとおりです.

    松室 美紀(情報理工学部 リアリティメディア研究室)17:00~「身体のメンタルモデルと身体所有感の変化が痛み知覚に与える影響」
    自身の身体のメンタルモデルは,行動の決定のために重要な役割を果たす.そこで,本研究では.視覚情報により身体のメンタルモデルを変化させることを試み,その痛み知覚への影響を検討した.特に,身体所有感の変化による効果との比較を行った.身体所有感とは自身の身体や対象物が自身の一部であるという感覚を指し,その強さは痛み知覚に影響することが先行研究で指摘されている.本研究ではMR技術を用い参加者の前腕を透明に見せ,参加者のメンタルモデルと痛みの知覚の変化を測定した.その結果,身体所有感よりも,腕を透明にすることにより生じる実体のなさが,痛み知覚を減少させることが示された.

    満田 隆(情報理工学部)17:30~「選ぶために最後に見る,触る,嗅ぐ:二者択一選好課題における意思決定メカニズム」
    二つの候補からどちらか好きなほうを選択する場合,人は通常,両候補を交互に繰り返し見比べて決定する.一方,コンピュータが二者択一を行う場合は,それぞれを独立に1回ずつ評価して,評価点が高いほうを選ぶので見比べる必要はない.人はなぜ,見比べる動作を必要とするのか?多くの研究は,二つの画像から一つを選ぶ場合,人は選ぶ画像を最後に見る傾向があることを報告している.これまでの実験で,この傾向は視覚に限らず,触覚や嗅覚を用いた選好課題でも生じることを確認した.また,好き嫌いとは関係のない基準で選択する課題でも同じ傾向が生じることを確認した.本発表では,候補への接触方法が選択に与える影響を紹介するとともに,単純接触効果や意思決定メカニズムとの関連について議論する.
  2. 2019年1月21日(月)に,第20回研究センター研究会が,びわこ・くさつキャンパス (BKC) エポック立命21 K305室において開かれました.演者,時間,講演内容は次のとおりです.

    山田泰己(情報理工学部リアリティメディア研究室)17:00~「視・聴覚刺激が錯覚現象 R-V Dynamics Illusionに与える影響の分析」
    R-V Dynamics Illusionとは,実物体 (R) と仮想物体 (V) の異なる運動状態の際に発生する錯覚現象である.これまでに実物の剛体に対して液体が揺れる視覚刺激を提示すると,実際よりも物体を軽く知覚する現象を発見した.次なるステップとしてこの視覚刺激を液体から剛体に変更した場合にも同錯覚現象が発生するのか確認した.更に視覚刺激を剛体とすると物体が衝突したときの音の印象が強くなるため,視覚刺激だけでなく,聴覚刺激の影響が大きくなると考えられる.そこで,聴覚刺激も付与した場合に,錯覚現象にどのような影響を与えるのか実験・分析した内容を発表する.

    周娟(j-zhou)(情報理工学部協調メディア研究室)17:30~「小学校での協調学習支援におけるマルチマウスクイズシステムの利用」
    小学校教育では,児童を学習に動機づけることが重要であり,楽しく学習できるような雰囲気を作るために協調学習という形態を用いた授業実践がしばしばみられる.このような授業へのICT利用は重要な課題である.Single Display Groupware(SDG)は,1つのディスプレイを共有しながら複数人にマウスなどの入力デバイスを操作できるようにしたComputer Supported Collaborative Learning (CSCL)モデルである.このSDGの概念に基づき,1つの画面を共有しながら複数人が同時にクイズを答えるシステムであるマルチマウスクイズ(MMQ)とクイズを編集する機能を実装したマルチマウスクイズエディタからなるマルチマウスクイズシステムが開発された.本発表は,MMQを用いたさまざまな授業実践を紹介し,博物館学習で行った授業実践の具体例を挙げながら,システムの有効性及び児童たちの学習効果を紹介する.
  3. 2018年11月23日(金)に,第19回研究センター研究会が,大阪・いばらきキャンパス(OIC)B棟研究会室2において開かれました.演者,時間,講演内容は次のとおりです.

    破田野 智美(立命館大学)5:00~「人物写真の印象を変える,距離・大きさの見え方」
    写真を見ると,写し撮られたものの様子がすっかりわかったような気持ちになる.パスポートの証明写真や旅行先での風景の写真は,それを見れば対面しなくても雰囲気を把握できるからこそ撮影されるのだろう.画面上の像は光学的法則に従っており,写真を特定の場所から眺めれば,そのときの網膜像は実物を見た場合とよく一致するため,写真が現実を代替する媒体だと感じても無理はない.
    しかし,撮影方法によって見え方が異なることも,われわれは経験的に知っている.このため,景色は美しさが伝わるよう,人物であれば魅力を引き出すように,写す角度や構図などに工夫を凝らす.その結果,同一人物を高身長に見せたり可愛らしく見せたりする撮影方法が編み出されてきたし,最近では,写真の撮りようによって顔立ちが大きく変わって見える「角度詐欺」が話題となった.
    この少し矛盾するような体験は,撮影方法と知覚,そして印象の連鎖として整理できる可能性がある.これを確かめるため,カメラの位置を変えて人物の身体や顔を撮影し,各部位の大きさの見え方と,体形や相貌の印象とを測定し,両者の関係を重回帰式で表した.その結果,人物とカメラとの位置関係によって画面上の像が変化し,各部位の大きさが変わって見え,体形や顔だちの印象が変わる様子を捉えることができた.

    渋谷 郁子(大阪成蹊短期大学)5:30~
    「子どもの両手協調運動における調節過程」 手指運動は,日常的な動作の繰り返しを通じて,生後数年の間に急速に発達していく.多くの子どもは就学までに食事や更衣などの基礎動作を習得し,描画や書字,工作といった活動にも親しむようになる.その一方,手指運動に不器用さやぎこちなさが存在する場合には,これらの動作や活動が広範に障害され,生活の質が低下したり学業達成の妨げになったりする恐れがある.本研究は,小学校1年生47名を対象として,子どもの手指運動の巧緻性に影響を与える要因を,ハサミの操作を題材として検討したものである.ハサミ操作の正確さと速さを算出し,課題のパフォーマンスとした.それぞれの中央値を基準として,「正確・高速」群,「正確・低速」群,「不正確・高速」群,「不正確・低速」群の4群を設けて子どもを分類した.各群において,最も顕著な結果を示した4名の子どもを対象に,紙の持ち替え数,ハサミの開閉数,ハサミを持つ側の肘の角度などの指標から,肩や肘といった上肢の運動について検討を加えた.その結果,紙の持ち替えを頻繁に行うこと,ハサミを頻繁に開閉させること,ハサミを持つ側の肘の角度が大きいことなどが,ハサミの巧緻性を低減させる要因であることが示唆された.いずれも,紙を持つ側である非利き手の手首の柔軟性が関係していた.発表ではこれらの結果をもとに,子どもの手指運動の巧緻性を高める支援について考察した.

近い将来の予定

  1. 基礎的要素の強い研究を中心にして,2か月ごとに研究会を開催して,研究発表と意見交換を行います.研究会では,おもに本研究センターのメンバーと外部からお招きした方々の発表を行います.次回の研究会は,2019年3月下旬に大阪・いばらきキャンパス(OIC)で行う予定です.