最近の出来事

  1. 2021年3月24日(水)に,第32回研究センター研究会が,BKCエポック立命K-307における直接参加とZOOMによる遠隔参加によって開かれました.演者,時間,講演内容は次のとおりです.

    矢藤優子(総合心理学部)17:30~『妊娠期からの母子関係と子どもの社会性発達に関する縦断研究―行動観察・質問紙・生理指標を用いた調査―』
     本発表では,発表者がプロジェクトリーダーを務めるR-GIRO研究プログラムによる発達研究プロジェクト「シームレスな対人支援に基づく人間科学の創成」(HP:http://www.ritsumei.ac.jp/rgiro/activity/program/third/projects/index.html/)における研究成果の一部について報告した.本プロジェクトでは,少子高齢化時代におけるそれぞれの世代(乳幼児・児童・青年・成年/老年)が抱える課題について,行動発達学,神経科学,ナラティブ心理学,地域社会学等の立場から学融的な研究を行い,科学的根拠に基づく対人援助を実現していくことを目的としている.その一環として,胎児期から幼児期までの子どもとその養育者を対象に,行動観察・質問紙・面接・生理指標など多面的な方法を用いた発達研究「いばらきコホート」を展開している.本発表では,「いばらきコホート」で実施されてきた母子行動観察(社会的関係性の評価・深層学習により身体の動きをトラッキングするDeepLabCutによる解析など),唾液中バイオマーカーを用いた妊産婦のオキシトシン・コルチゾール検査,乳児の表情認知課題などから得られた結果を報告した.また,新型コロナウイルス感染症(COVID-19 )の世界的流行は,外出自粛,小中高の休校措置,在宅勤務や感染への不安などによるストレス,配偶者からのDVや児童虐待リスクの深刻化など,子育て世帯に大きな影響を及ぼしている.そこで,いばらきコホート参加者と中国(上海)の子育て世帯を対象に実施した実態調査の一部についても報告した.

    篠田博之(情報理工学部)18:15~『デジタルサイネージが信号灯の視認性に及ぼす影響 ー鑑定書の事例からー』
     LEDの高輝度化によりデジタルサイネージを目にすることが多くなった.デジタルサイネージは明るく色鮮やかなコンテンツや動画も提示できるため,人の目を引きやすく広告媒体としては非常に有効である.それゆえにさまざまな状況で道路交通上重要な対象や事象に対する運転者や歩行者による知覚的検出を阻害している可能性があり,実際に苦情も寄せられている.今回は,警察署の要請で鑑定書に報告した内容をもとに,デジタルサイネージが信号灯の視認性に与える影響について検討した結果を報告した.前半では,基礎的な増分閾値(輝度差弁別閾値)とそれに基づいて国際照明委員会CIEが提案するVisibility Levelを紹介し,実際に現地で測光・測色したデータを適用して視認性を評価した.後半では,人間の中心・周辺視野特性や注意の見落とし現象の観点から,道路交通上で重要な対象である信号灯や歩行者,車両の知覚的検出を阻害する要因を考察した.

  2. 2021年2月8日(月)に,第31回研究センター研究会が,zoomを用いて開かれました.演者,時間,講演内容は次のとおりです.

    野間春生(情報理工学部) 17:30~ 『徹底的にヒトを模した触覚センサの識別技術と応用,事業化活動の紹介』
       これまでに極小サイズのMEMS技術を応用した触覚センサの開発を進めている. このセンサそのものはヒトの触覚受容器と同程度のサイズで実装が可能である。このセンサを活用して、計測された信号処理の手段についても深層学習を応用してヒトの処理を模した仕組みを研究している. これらのセンサによる識別技術と応用,さらには,本年度に始めた本センサの大学発の事業化活動について紹介した.

    林勇吾(総合心理学部) 16:16~『認知的コミュニケーション支援に向けて:協同学習場面での実験的検討』
       本発表では,「高齢者の認知的コミュニケーションの支援に向けた学際的研究拠点の形成」(R-Giro4期採択,主宰:林勇吾)における認知的コミュニケーション支援の概要について簡単に取り上げた. そのうえで,現在,林研究室で研究してきた協同学習場面での認知的コミュニケーション支援に関するレビューを行った.
       R-Giroのプロジェクトでは,実証的なエビデンスをもとに人の状態を理解するモデルを構築し,そのモデルをベースに情報システムを構築していく認知科学的な研究アプローチを採用している. 研究室で行った研究の例としては,小集団での人間の協同問題解決に関する研究がある(Hayashi, 2018, Cognitive Science). 本研究では,集団での人間の協同問題解決における協同相手の発話行動を実験的に操作するために実験装置として会話エージェントを構築した. また,別の研究では,ペアでの協同学習を教育用学習エージェント(Hayashi, 2020, International Journal of Computer-Supported Collaborative Learning)やプロンプト提示によるコミュニケーション支援を行っている(下條・林,in press,認知科学). これらの研究では,学習者や教師の発話内容を心理学実験により検討・分析したうえで,その内容をもとに実験のための支援システムを開発するアプローチにより進めている. 本発表では,今後の課題として,最新の認知科学・人工知能のモデル研究によりどのように研究を発展させることができるのか,さらにはR-Giroのプロジェクトにおいて心理学と情報工学の研究をどのように融合的に研究を行えるのかを議論した.

  3. 2020年11月26日(木)に,第30回研究センター研究会が,コロナ・ウィルスの感染対策としてzoomを用いて開かれました.演者,時間,講演内容は次のとおりです.

    島川博光(情報理工学部) 17:30~ 『ふるまい,生理学信号を用いたモニタリング同調の検知と自己調整学習への応用』
       学生が自主的に学ぶことを旨とする自己調整学習に効果的なグループワークを多くの教員が導入しようとしている. 成功しているグループワークでは,メンバは,他のメンバが何を考えているか,どのようにすれば各自の案を融和できるかを思考するモニタリングに従事する. モニタリングがメンバ間で同時期に起こっているとき,学びのために何が必要かを各メンバが強制されることなく考える自己調整学習が起こっていると考えられる. 与えられた課題をグループ内での議論を伴う協働により解く場合を考える. 本研究では,ひとりの教員が多数の学生グループを指導している教育現場で,グループワークを成功に導く手法を確立することを目指している. 今回の発表では,侵襲性が低いセンサを使いグループ内でのモニタリング状態をその場で把握し,教員に知らせる実験について紹介する. さらに,そこでの結果を踏まえ,議論,協働が活発化しないグループを,教員が成功に導けるように指導する環境として,どのようなものが考えられるかの一案を示し,みなさまからのご批判を仰ぐ.

    北岡明佳(総合心理学部)18:15~  『フットステップ錯視のレビュー』
       フットステップ錯視(footstep illusion)とは,一定速度で動いている刺激の速度が,背景の縞模様と相互作用して,速く見えたり遅く見えたりする運動視の錯視(Anstis, 2001)である.フットステップ錯視は,運動する対象のエッジのコントラストに依存して知覚される速度が異なって見える現象であるという説明(Thompson, 1982)が有力である.それに加えて,Gregory and Heard (1983) が提案した幾何学的錯視,およびWade (1990) の隠し絵(hidden image)に類似した消失錯視によるポジションキャプチャとモーションキャプチャが重要な役割を演じていることを,本レビューでは指摘する.関連する錯視,たとえばキックバック錯視(kickback illusion: Howe, Thompson, Anstis, Sagreiya & Livingstone, 2006),キックフォーワード錯視(kick-forward illusion),でこぼこ道ドライブ錯視(driving-on-a-bumpy-road illusion),リバーストファイによるフットステップ錯視(the footstep illusion based upon reversed phi motion)などを考察する.


    ズーム・ミィーティングの記念写真
  4. 近い将来の予定

    1. 基礎的要素の強い研究を中心にして,2か月ごとに研究会を開催して,研究発表と意見交換を行います.研究会では,おもに本研究センターのメンバーが発表を行います.次回の研究会は,2021年5月の24に.安藤潤人(情報理工学部)と服部雅史(総合心理学部)の講演を予定しています.