最近の出来事

  1. 2018年11月23日(金)に,第19回研究センター研究会が,大阪・いばらきキャンパス(OIC)B棟研究会室2において開かれました.演者,時間,講演内容は次のとおりです.

    破田野 智美(立命館大学)5:00~「人物写真の印象を変える,距離・大きさの見え方」
    写真を見ると,写し撮られたものの様子がすっかりわかったような気持ちになる.パスポートの証明写真や旅行先での風景の写真は,それを見れば対面しなくても雰囲気を把握できるからこそ撮影されるのだろう.画面上の像は光学的法則に従っており,写真を特定の場所から眺めれば,そのときの網膜像は実物を見た場合とよく一致するため,写真が現実を代替する媒体だと感じても無理はない.
    しかし,撮影方法によって見え方が異なることも,われわれは経験的に知っている.このため,景色は美しさが伝わるよう,人物であれば魅力を引き出すように,写す角度や構図などに工夫を凝らす.その結果,同一人物を高身長に見せたり可愛らしく見せたりする撮影方法が編み出されてきたし,最近では,写真の撮りようによって顔立ちが大きく変わって見える「角度詐欺」が話題となった.
    この少し矛盾するような体験は,撮影方法と知覚,そして印象の連鎖として整理できる可能性がある.これを確かめるため,カメラの位置を変えて人物の身体や顔を撮影し,各部位の大きさの見え方と,体形や相貌の印象とを測定し,両者の関係を重回帰式で表した.その結果,人物とカメラとの位置関係によって画面上の像が変化し,各部位の大きさが変わって見え,体形や顔だちの印象が変わる様子を捉えることができた.

    渋谷 郁子(大阪成蹊短期大学)5:30~
    「子どもの両手協調運動における調節過程」 手指運動は,日常的な動作の繰り返しを通じて,生後数年の間に急速に発達していく.多くの子どもは就学までに食事や更衣などの基礎動作を習得し,描画や書字,工作といった活動にも親しむようになる.その一方,手指運動に不器用さやぎこちなさが存在する場合には,これらの動作や活動が広範に障害され,生活の質が低下したり学業達成の妨げになったりする恐れがある.本研究は,小学校1年生47名を対象として,子どもの手指運動の巧緻性に影響を与える要因を,ハサミの操作を題材として検討したものである.ハサミ操作の正確さと速さを算出し,課題のパフォーマンスとした.それぞれの中央値を基準として,「正確・高速」群,「正確・低速」群,「不正確・高速」群,「不正確・低速」群の4群を設けて子どもを分類した.各群において,最も顕著な結果を示した4名の子どもを対象に,紙の持ち替え数,ハサミの開閉数,ハサミを持つ側の肘の角度などの指標から,肩や肘といった上肢の運動について検討を加えた.その結果,紙の持ち替えを頻繁に行うこと,ハサミを頻繁に開閉させること,ハサミを持つ側の肘の角度が大きいことなどが,ハサミの巧緻性を低減させる要因であることが示唆された.いずれも,紙を持つ側である非利き手の手首の柔軟性が関係していた.発表ではこれらの結果をもとに,子どもの手指運動の巧緻性を高める支援について考察した.
  2. 2018年9月27日(木)に,第18回研究センター研究会が,びわこ・くさつキャンパス(BKC)エポック立命21のK305号室において開かれました.演者,時間,講演内容は次のとおりです.

    光廣 可奈子(文学研究科 博士後期課程)5:00~「顔の美しさ・好ましさ・魅力評価の相違―提示時間の効果からの検討―」
    他者の顔を「美しいけれど,好きでない」や「魅力的だが,美しくない」と感じることがあるように,われわれの日常経験では,美しさ,好ましさ,魅力の評価が常に一致するとは限らない.しかし,従来の顔研究の中でこれら三つの評価は十分に区別して検討されないことが多い.本研究では,顔全体および顔のパーツ(目,鼻,口)の提示時間の違いが,美しさ,好ましさ,魅力評価へ与える影響を比較することから,三つの評価の違いを検討した.実験参加者は,刺激の提示時間(20ms,100ms,1000ms,時間制限なし)ごとに,四つのグループにランダムに分けられ,顔全体および顔のパーツの美しさ,好ましさ,魅力について7段階で評定した.その結果,顔全体および顔のパーツの評価は,評価項目にかかわらず20msという非常に短い時間で,刺激を十分に見たときと同じレベルで行えるが,刺激の提示時間の影響は評価項目によって異なることが分かった.美しさの評価は刺激の提示時間の影響を受けないのに対し,好ましさと魅力では提示時間が長くなると顔のパーツの評価が変化した.これらの結果から,好ましさおよび魅力と美しさは,異なるプロセスによって評価される可能性が示唆された.

    對梨 成一(文学部)5:30~「坂道の見かけの縦断勾配に及ぼす双眼鏡の効果―虚像とその網膜像による仮説―」
    机上に置かれた水平な矩形の用紙を数メートル離れた位置から双眼鏡で観察したとき,その用紙の像は歪み,水平な縦断勾配は上り坂に,矩形である形は近小遠大(逆遠近)に,用紙の前辺から後辺までの奥行きは短縮し,視点から用紙までの距離も短縮し,その大きさは大きく見える.本研究では,双眼鏡で生じるこれらの歪みのうち,見かけの縦断勾配が測定された.独立変数は双眼鏡を通して観察したときと双眼鏡なしで観察したときであり,従属変数は坂道の見かけの縦断勾配を水平に調整したときの角度であった.その結果,双眼鏡を通して観察したとき坂道は,双眼鏡なしで観察したときよりも著しく上り坂に見えた.双眼鏡による歪みをその虚像および虚像の網膜像と比較することによって,縦断勾配・距離・奥行きの歪みは心理学的現象,形と大きさの歪みは光学的現象に分類された.双眼鏡による縦断勾配の歪みは,その虚像の形あるいは虚像の網膜像の形,距離の短縮,視野の狭窄の要因によって生じると説明された.
  3. 本研究センターとの共催のもと,日本認知科学会第35回大会(8月30日〜9月1日)と日本認知心理学会第16回大会(9月1日~9月2日)が立命館大学大阪いばらきキャンパス(OIC)で開かれました.本センターの分科会である「説明研究会」(主宰 山本博樹)が,シンポジウム『本当に認知研究は説明実践に貢献してきたのか?-「分かりやすい説明」をめぐるアポリアへの挑戦-』を実施しました.約300人の方々の参加を得ました.
  4. 認知科学研究センター主催の「力触覚技術応用コンソーシアム研究会」が9月12日(水)18時より,立命館大学東京キャンパス第4教室において開催されました.企業及ぶ大学・研究所関係者30人余りが参加され,活発な情報の交換が行われました.
    詳細はこちらから
  5. 2018年7月27日(木)に,第17回研究センター研究会が,大阪いばらきキャンパス(OIC)B棟研究会室2において開かれました.演者,時間,講演内容は次のとおりです.

    大井翔(情報理工学部)5:00~「振り返り認知リハビリテーション支援システムと認知トレーニングソフトについて」
    高次脳機能障害者のための社会復帰に向けた振り返り認知リハビリテーション支援システムを開発している.振り返り支援システムは,行動モニタリング・理解,行動予測,介助,声掛け,ヘルプ機能,振り返りのフェーズから構成されており,症例自身の気づきの誘発やリハビリテーションに対する意欲付けができる. 本研究では,大阪府立障がい者自立センターに入所する記憶障害や注意障害の症例に対して調理・掃除リハビリテーションを対象とし,生活行動ナビゲーションを活用し,振り返り認知リハビリテーションについて効果検証を行った事例を紹介し,振り返り支援システムの自動化に向けた取り組みについて述べる. また,神経心理学の専門家と共同で開発したワーキングメモリと注意機能を訓練する認知トレーニングソフトも紹介する.訓練ソフトの効果検証については,今年度行っている段階である.

    高田 秀志  情報理工学部教授 5:30~「プログラミングによる創造的思考の育成」 社会が高度化するにともなって,すでに構築された知識を習得・活用するだけでなく,自ら新しい問題を発見し,解決策を見つけ出していく「創造的思考」が重要になっている.我々はすでに10年以上に渡ってビジュアルプログラミング環境を活用した教育活動を推進しているが,現代の社会において求められている思考力・判断力・表現力等を育成するための方策としてはまだまだ不十分な点が多い.今回の発表では,まず,プログラミングによって創造的思考を育成することに対する基本的な考え方として,MITのMitchel Resnick教授らによって提唱されているCreative Learning Spiralや日本におけるプログラミング教育の目的,Computational Thinkingについて概観する.その後、我々の研究室で行っている研究として,相互評価を導入したスモールステップ化プログラミング学習ツールを紹介する.本ツールは,子供たちが意味のあるプロジェクトに取り組む上で,プロジェクトを進めていくための手順をいくつかのステップに分けて提示し,さらに,子供たち同士の相互評価を取り入れることで,プログラミングの導入期に必要な足場を与える.さらに,導入期以降のより高度なプログラミングが行えるように学習を進めていくためのツールとして開発を行っている演繹型プログラミング学習ツールを紹介する.

近い将来の予定

  1. 基礎的要素の強い研究を中心にして,2か月ごとに研究会を開催して,研究発表と意見交換を行います.研究会では,おもに本研究センターのメンバーと外部からお招きした方々の発表を行います.次回の研究会は,2019年1月下旬にびわこ・くさつキャンパス(BKC)で行う予定です.