最近の出来事

  1. 2018年9月27日(木)に,第18回研究センター研究会が,研究センター研究会が,びわこ・くさつキャンパス(BKC)エポック立命21のK305号室において開かれました.演者,時間,講演内容は次のとおりです.

    光廣 可奈子(文学研究科 博士後期課程)5:00~「顔の美しさ・好ましさ・魅力評価の相違―提示時間の効果からの検討―」
    他者の顔を「美しいけれど,好きでない」や「魅力的だが,美しくない」と感じることがあるように,われわれの日常経験では,美しさ,好ましさ,魅力の評価が常に一致するとは限らない.しかし,従来の顔研究の中でこれら三つの評価は十分に区別して検討されないことが多い.本研究では,顔全体および顔のパーツ(目,鼻,口)の提示時間の違いが,美しさ,好ましさ,魅力評価へ与える影響を比較することから,三つの評価の違いを検討した.実験参加者は,刺激の提示時間(20ms,100ms,1000ms,時間制限なし)ごとに,四つのグループにランダムに分けられ,顔全体および顔のパーツの美しさ,好ましさ,魅力について7段階で評定した.その結果,顔全体および顔のパーツの評価は,評価項目にかかわらず20msという非常に短い時間で,刺激を十分に見たときと同じレベルで行えるが,刺激の提示時間の影響は評価項目によって異なることが分かった.美しさの評価は刺激の提示時間の影響を受けないのに対し,好ましさと魅力では提示時間が長くなると顔のパーツの評価が変化した.これらの結果から,好ましさおよび魅力と美しさは,異なるプロセスによって評価される可能性が示唆された.

    對梨 成一(文学部)5:30~「坂道の見かけの縦断勾配に及ぼす双眼鏡の効果―虚像とその網膜像による仮説―」
    机上に置かれた水平な矩形の用紙を数メートル離れた位置から双眼鏡で観察したとき,その用紙の像は歪み,水平な縦断勾配は上り坂に,矩形である形は近小遠大(逆遠近)に,用紙の前辺から後辺までの奥行きは短縮し,視点から用紙までの距離も短縮し,その大きさは大きく見える.本研究では,双眼鏡で生じるこれらの歪みのうち,見かけの縦断勾配が測定された.独立変数は双眼鏡を通して観察したときと双眼鏡なしで観察したときであり,従属変数は坂道の見かけの縦断勾配を水平に調整したときの角度であった.その結果,双眼鏡を通して観察したとき坂道は,双眼鏡なしで観察したときよりも著しく上り坂に見えた.双眼鏡による歪みをその虚像および虚像の網膜像と比較することによって,縦断勾配・距離・奥行きの歪みは心理学的現象,形と大きさの歪みは光学的現象に分類された.双眼鏡による縦断勾配の歪みは,その虚像の形あるいは虚像の網膜像の形,距離の短縮,視野の狭窄の要因によって生じると説明された.
  2. 本研究センターとの共催のもと,日本認知科学会第35回大会(8月30日〜9月1日)と日本認知心理学会第16回大会(9月1日~9月2日)が立命館大学大阪いばらきキャンパス(OIC)で開かれました.本センターの分科会である「説明研究会」(主宰 山本博樹)が,シンポジウム『本当に認知研究は説明実践に貢献してきたのか?-「分かりやすい説明」をめぐるアポリアへの挑戦-』を実施しました.約300人の方々の参加を得ました.
  3. 認知科学研究センター主催の「力触覚技術応用コンソーシアム研究会」が9月12日(水)18時より,立命館大学東京キャンパス第4教室において開催されました.企業及ぶ大学・研究所関係者30人余りが参加され,活発な情報の交換が行われました.
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  4. 2018年5月27日(木)に,第17回研究センター研究会が,大阪いばらきキャンパス(OIC)B棟研究会室2において開かれました.演者,時間,講演内容は次のとおりです.

    大井翔(情報理工学部)5:00~「振り返り認知リハビリテーション支援システムと認知トレーニングソフトについて」
    高次脳機能障害者のための社会復帰に向けた振り返り認知リハビリテーション支援システムを開発している.振り返り支援システムは,行動モニタリング・理解,行動予測,介助,声掛け,ヘルプ機能,振り返りのフェーズから構成されており,症例自身の気づきの誘発やリハビリテーションに対する意欲付けができる. 本研究では,大阪府立障がい者自立センターに入所する記憶障害や注意障害の症例に対して調理・掃除リハビリテーションを対象とし,生活行動ナビゲーションを活用し,振り返り認知リハビリテーションについて効果検証を行った事例を紹介し,振り返り支援システムの自動化に向けた取り組みについて述べる. また,神経心理学の専門家と共同で開発したワーキングメモリと注意機能を訓練する認知トレーニングソフトも紹介する.訓練ソフトの効果検証については,今年度行っている段階である.

    高田 秀志  情報理工学部教授 5:30~「プログラミングによる創造的思考の育成」 社会が高度化するにともなって,すでに構築された知識を習得・活用するだけでなく,自ら新しい問題を発見し,解決策を見つけ出していく「創造的思考」が重要になっている.我々はすでに10年以上に渡ってビジュアルプログラミング環境を活用した教育活動を推進しているが,現代の社会において求められている思考力・判断力・表現力等を育成するための方策としてはまだまだ不十分な点が多い.今回の発表では,まず,プログラミングによって創造的思考を育成することに対する基本的な考え方として,MITのMitchel Resnick教授らによって提唱されているCreative Learning Spiralや日本におけるプログラミング教育の目的,Computational Thinkingについて概観する.その後、我々の研究室で行っている研究として,相互評価を導入したスモールステップ化プログラミング学習ツールを紹介する.本ツールは,子供たちが意味のあるプロジェクトに取り組む上で,プロジェクトを進めていくための手順をいくつかのステップに分けて提示し,さらに,子供たち同士の相互評価を取り入れることで,プログラミングの導入期に必要な足場を与える.さらに,導入期以降のより高度なプログラミングが行えるように学習を進めていくためのツールとして開発を行っている演繹型プログラミング学習ツールを紹介する.
  5. 2018年5月24日(木)に,第16回研究センター研究会が,びわこ・くさつキャンパス(BKC)エポック立命21のK305号室において開かれました.演者,時間,講演内容は次のとおりです.

    高橋英之(大阪大学 基礎工学研究科)5:00~ 「自分自身を見つめ直すためのロボット」
    発表者は,人間と相互作用するロボットの研究を行っているが,それはコミュニケーション相手のレプリカを創る行為ではなく,人間が自分自身について自問自答する場づくりにロボットのテクノロジーが生かせるのではないかという狙いから行っている.今回の発表では,被験者自身の意見をロボットに発話させることで外在化させ,その意見を被験者自身に否定させる,という経験を創り出すことで,被験者自身の価値観や考えを内的に変容させるシステムについて紹介した.このシステムの狙いは,自分自身の考えについて客観的な視点から批判的に疑い続けることは一つの思考の在り方であり,このような自分の意見を外在化するシステムを構築することで,外部からの手助け無しで自らの思考を深めることにつなげられたら良い,という想いがある.予備実験の結果,システムの使用前後で一定数の被験者が価値観を変容させること,特に日常的に自らの行動規範としていない価値観については特に変容しやすいことが示された.その上で,外的に価値を提供するのではなく,自問自答を通じて自らの内的な価値を発見する,そういう場の構築をサービスとして提供することの可能性を“地蔵”というキーワードから議論した.

    和田有史(本学 食マネジメント学部)5:30~「呼吸と連動した後鼻腔経路嗅覚刺激による味覚強度増強効果」
       嗅覚により知覚される味の強度が変化することは古くから知られてきた.特に後鼻腔経路と口腔内感覚の混同はしばしば報告されてきた.日常生活において,におい分子は呼気や吸気と共に嗅上皮細胞に運ばれ,嗅覚受容体に受容されるため,呼吸のタイミングと嗅覚経路の関係は強い可能性がある.そこで,呼吸と連動した後鼻腔,前鼻腔の両経路からの嗅覚刺激呈示が味覚強度の増強を引き起こすかを検討した.
       実験参加者は嗅覚刺激を受けながら溶液の味の強度を評価させる課題をおこなった.嗅覚刺激にはバニラエッセンスを,味覚刺激にはショ糖溶液を用いた.嗅覚刺激呈示には,参加者の呼吸と連動して刺激を呈示できるにおい呈示装置を開発し,使用した.味覚刺激呈示では,溶液の入ったシリンジを参加者に持たせ,指示に合わせてプランジャーを押し込ませて溶液を飲ませた.その後,VASを用いて味の強度の評価を求めた.
       その結果,各条件のVASによる溶液の味の評価得点について,におい呈示条件と溶液濃度条件の二元配置の分散分析を行った.その結果,両要因の主効果が有意であった.さらに,事後検定を行ったところ,後鼻腔経路条件がにおいなし条件と比較して溶液の味の強度評価得点が有意に高かった.
       また,塩味を増強するといわれる匂い刺激と食塩溶液を用いて実験を行ったところ同様の嗅覚による味覚増強効果が得られた.
       これらの結果は,呼吸と連動した嗅覚刺激呈示においては,後鼻腔経路からのにおい呈示が味覚強度の増強を引き起こすことを示す一方で,前鼻腔経路でのにおいの効果はないもしくは,微弱である可能性を示唆している.

近い将来の予定

  1. 基礎的要素の強い研究を中心にして,2か月ごとに研究会を開催して,研究発表と意見交換を行います.研究会では,おもに本研究センターのメンバーと外部からお招きした方々の発表を行います.次回の研究会は,11月23日(金)に大阪・いばらきキャンパス(OIC)で行う予定です.